秒速ファシネイト
君につかまった日
「どう!?」
「んーおいしいよ~、麗美煮物なんて作れるようになったんだ、すごいねー」
モグモグしている真子に今度はきんぴらごぼうを押し付ける。
「これは!?」
「ちょっ…まだ飲み込んでないからー」
飽きれた表情の真子。
「いくら一条凪のお弁当がおいしかったからって、そこまで対抗心燃やさなくても」
「…だって悔しいし。
私はね、何事も誰かに負けるということを受諾できない人間なの」
あの一条凪とのお弁当交換会(?)から、私は毎日手作り弁当を持参している。
…あれは…完敗だった。
まさか一条凪があんなに料理上手だったとは予想外だ。
だがしかし!次は絶対「おいしい参ったー」って言わせてみせるんだから!
「打倒!一条凪!」
「打倒って、落とすんじゃないの?」
真子がまた呆れた顔をする。