秒速ファシネイト
「……それはそれ、これはこれ」
「いやいや違うでしょ。料理で一条凪と競ってる場合じゃなくない?一条凪をメロメロにさせるんじゃなかったのー?」
…そう。
料理の腕は日に日に上がっていってるけど、一条凪との距離感はなんら変わらず。
そのかわり…
「わー、木村さんのお弁当おいしそうだねー」
「そお?ありがと」
前より、男子に話しかけられることが多くなったような気がする。
「あーたしかに、前より話しかけやすくなったかもねー」
そのことを真子に言ったらそう言われた。
「前はお高くとまってる高嶺の花って感じだったけど、なんか今は前より人間ぽくなったよねー」
「いや前から人間だけど」
「そうじゃなくてさー。まあスカートも長めになって清楚系だし、お弁当作ってきたりして、単純に家庭的な女子いいなーって輩も多いと思うけどー」
……一条凪以外からの需要いらないんだけど。