秒速ファシネイト
あーあ。
私はため息まじりに、机でいつも通り読書をしている一条凪を見る。
一条凪との距離、机いっこぶんも縮まってないなー。
「あ、そうだっ」
深いため息をつく私を見て、いいこと思いついた!とでも言いたげに真子がパッと表情を明るくした。
「今日中学の友達と遊ぶんだ!男子も何人か来るから麗美も来なよー」
「え、いーよ。部外者私だけとか気まずいじゃん」
「だいじょうぶ!みんな自分の友達つれてきたりとか、しょっちゅーだから。それに…」
真子が気持ち声を潜めた。
「たまには男子と遊んだほうがいーんじゃない?男心の勉強的な?」
「男心の…勉強」
なるほど。
敵を倒すためならまず敵を知れってことね。
「真子…その誘い…のった!」
「おけ、連絡しとくわー」
ふっふっふ、一条凪。
どうやら私があなたを攻略する日も近いようね。
男心とやらをしっかり学んで、今度こそ落としてみせるんだからー!