秒速ファシネイト
まっ眩しい…!!
昇降口に入った瞬間、私は思わず目を細めた。
ちょうど靴から上履きに履き替えているところの一条凪から、物凄い光が…!!
「…あれ?木村さん。おはよう。何してるのそんな所で」
光の中、私に気づいた一条凪が不思議そうな顔をする。
「べ、別に?おはよう」
私は慌てていつも通りの顔と態度で一条凪の隣に並んだ。
「早いのね、登校」
「そう?木村さんが気付いてないだけで、いつも俺はこの時間だけど」
ふっと僅かに口角をあげる一条凪に、ドキーッと心臓が撃ち抜かれた。
「…っ」
「どうしたの木村さん」
思わず心臓を抑えた私を見下ろす一条凪。
「べべ別に!!何でもない、ちょっと心臓の調子が悪かっただけよ」
「ほんとに?」
次の瞬間、あろうことか、い、一条凪の左手が、心臓をおさえる私の右手の上に…重なった。
「まだ調子悪い?」
「っ!!!!!???」