秒速ファシネイト
ぜんぶわかった日
「これ使って」
一条凪の部屋の真ん中で立ち尽くす私に、この部屋の主がボスッとタオルを投げてよこした。
「…ありがと」
「ん。お茶いれるからテキトーに座ってて」
そう言い残していなくなる一条凪。
…何がどうしてこうなった…
とりあえず私は、その場にチョコンと座って部屋を見渡してみる。
和風な家の外観とは対照的に、一条凪の部屋は洋風な造りだった。
フローリングの上にラグ、ソファ、少し離れたところに学習机…テレビにゆったりとしたベッド。
私の部屋の軽く倍はある。やっぱり金持ちか!一条凪。
「おまたせ」
一条凪が部屋に戻ってきた。
「紅茶でいい?砂糖いれる?」
「うん、もらう。ありがと」
ザザーと並々砂糖をいれてると、一条凪の視線を感じた。
「…なに、甘党で悪い?」
「ううん。そーゆうとこ可愛いよね、木村さん」
「…かわ…」
かわいい!?