秒速ファシネイト
「…一条凪」
「ん?」
「ここにつれてきたのって…」
「家のがゆっくり話せるかなーって思って」
ゆっくり話す…
“じゃあ教えてよ”
“いいよ”
「…一条凪の男心、を?」
「…うん、そーだね」
くすり、笑った一条凪が。
なぜか私の手からマグカップを取り上げて、テーブルに置いた。
「なにす…」
「俺の、男心?」
気づいたときにはすぐ目の前に一条凪の顔があって。
濃くて、だけど透き通るような黒い瞳。あ、きれい、なんて思ったときには
ちゅ、と唇が重なっていた。