秒速ファシネイト
「俺木村さんのことが好きだよ」
テーブルに頬杖をついた一条凪が、まるでなんてことない口調で言う。
「……またバカにしてる?」
震えそうになる声を必死に抑えて言った。
平常心。平常心。平常心…!
だって、そんな
「バカに?してないよ」
一条凪が私のこと、す、すきとか
「俺本気だよ」
ありえないでしょ…!
「ずっと前から木村さんのことが好き」
っばかな!
「ばかにしないでよっ!」
思わず立ち上がった。
その衝撃で、テーブルの上の紅茶が揺れる。
「人の気持ちなんだと思ってっ…ばかにすんのもいい加減にしてよっ!」