秒速ファシネイト
「人の気持ちって…」
なぜか一条凪も立ち上がった。
少しの間だけ下にあった視線が、またぐんと高くなる。見下ろされてる感じで気に食わない。
「別に木村さん、俺のこと好きなわけじゃないんでしょ?
落としたいけど、好きではないんだよね?」
「…っ」
「ちがう?」
一条凪の手が伸びてきて、
くるくると、私の髪の毛の先を弄ぶ。
…むかつく。
なんでこの手、振り払えないんだろう。
恋は惚れた方が負け。
…すっごい屈辱だけど
「……ばーーーか!知らなったの?
私が一条凪のこと好きだって」