秒速ファシネイト





…じゃあ私はその作戦にまんまと引っかかったってこと!?




「まさか落とす宣言されるとは思ってなかったけどね」




そこでようやく一条凪の腕の力が緩んだ。




押し付けられていた一条凪の胸から顔をあげる。




そこには、優しく私を見下ろす漆黒の瞳があった。




「まだ、信じられない?」



「…信じていいの?」



「もちろん」



「じゃあ…そうする」





なんか、一条凪の顔をまっすぐ見れなくてそっぽを向く私に、一条凪がくすりと笑った。





両想いになったと思われるこの状況でも、やっぱり一条凪だけ余裕たっぷりで。私はいっぱいいっぱいで。





「っ!?」





少しでも、一条凪の余裕そうな顔を崩してやりたくて





一条凪のネクタイを引っ張って




今度は私からキスした。






< 60 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop