昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「それでも、私はお父さまやみんなの役に立ちたいのよ。仕事がまだ途中なの。会社に戻らないと」
 点滴の針を腕から抜くと、弟は慌てた。
「ちょっと、姉さんなにやってるの! 会社って……今日は日曜日だよ」
「う……そ。私、そんなに寝てたの?」
 目に映った壁時計に目を向ければ一時過ぎ。
 日が差しているということは午後。
 私が倒れたのは土曜日に会社に出勤してしばらくしてからだから、丸一日以上寝ていたことになる。
「それだけ身体が疲れてたってことだよ。今朝は葵姉さんと琴さんが凛姉さんの様子を見に来てたんだ。で、午後は僕が交代したわけ」
「みんなにいろいろ心配かけちゃってごめんね。でも、もう完全復活したから」
 にっこり笑ってベッドを出ると、直史に止められた。
「僕の話ちゃんと聞いてた? ベッドで寝てなきゃダメだよ」
「平気よ。もうこれ以上寝れない」
 まだ身体はダルいがやらなきゃいけないことがたくさんある。
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