昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 薬指の指輪を見て戸惑う私に彼は穏やかな声で問いかける。
「なんのために俺がここに来たと思っている?」
「お見舞いでは?」
 他の理由が思い当たらずそう答えたら、彼はとびきり甘い声で告げた。
「違う。お前が好きだから迎えに来たんだ」
「鷹政さん……」
 彼の告白に涙腺が崩壊して、涙が止めどなく流れる。だが、これは嬉し涙だ。
 鷹政さんが私を好き?
 本当に? 夢を見ているんじゃないよね?
 彼の口から聞いてもまだ信じられなかった。
「お前は俺のことが好きか?」
 鷹政さんに聞かれ、声が出なかった私はコクッと頷く。
「嫁入り道具もなにもいらない。俺の嫁になれ」
 極上の笑みを浮かべながら彼は指で私の頬を拭う。
 思いがけないプロポーズ。
 感極まってしまって返事をしようにもうまく声にならない。
「鷹……政……さん」
 泣きじゃくる私を鷹政さんはそっと抱きしめる。
「なにも心配はいらない。うちに嫁に来い。一生大事にする」
 
 
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