昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
日本最大の財閥は青山だ。警察はうちに味方するだろう。
こいつだってそれくらいわかるはず。
橋本清十郎の目を射抜くような眼差しを向けると、彼はしばし黙り込み、突然大笑いした。
「残念だなあ。今度こそ凛ちゃんを手に入れたと思ったのに、すでに氷帝のものとはね。わかった。手を引くよ」
おちゃらけた態度でそう言ったかと思ったら、彼はニヤリとして俺に「ビジネスでは引かないからな」と告げ、この場から立ち去った。
「伊織、あいつに一万円の小切手を送っておけ」
近くにいた伊織にそう指示を出したら、凛の表情が曇って……。
「あの……一万円、働いて必ずお返しします。助けていただいてありがとうございました」
俺の顔も見ずに凛は他人行儀な態度で礼を言う。
その顔は今にも泣きそうだ。
父親に自分を売られてしまったのだから、相当ショックを受けただろう。
返す必要はないと言おうとしたら、彼女は首に下げていた指輪を俺に返して続けて言った。
こいつだってそれくらいわかるはず。
橋本清十郎の目を射抜くような眼差しを向けると、彼はしばし黙り込み、突然大笑いした。
「残念だなあ。今度こそ凛ちゃんを手に入れたと思ったのに、すでに氷帝のものとはね。わかった。手を引くよ」
おちゃらけた態度でそう言ったかと思ったら、彼はニヤリとして俺に「ビジネスでは引かないからな」と告げ、この場から立ち去った。
「伊織、あいつに一万円の小切手を送っておけ」
近くにいた伊織にそう指示を出したら、凛の表情が曇って……。
「あの……一万円、働いて必ずお返しします。助けていただいてありがとうございました」
俺の顔も見ずに凛は他人行儀な態度で礼を言う。
その顔は今にも泣きそうだ。
父親に自分を売られてしまったのだから、相当ショックを受けただろう。
返す必要はないと言おうとしたら、彼女は首に下げていた指輪を俺に返して続けて言った。