昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
9、彼との新しい生活
「う……ん」
 寝返りを打ったら、なにかにぶつかって目が覚めた。
 目の前には鷹政さんの綺麗な顔。
 ええ!?
 目をひん剥いて驚くが、あまりに衝撃が強すぎたのか声は出なかった。
 人って心臓が飛び出そうなほど驚いた時は声が出ないんだ……なんて呑気に現実逃避している場合じゃない。
 どうして鷹政さんと一緒にベッドにいるの?
 透き通るような白い肌。まつ毛は長く、鼻筋も通っていて、まるでお伽話に出てくる王子さまのよう。
 彼に初めて会った時はキラキラしていて本当に天使だと思った。
 彼の顔をまじまじと見ながら考える。
 昨日は確か退院して、彼の屋敷に連れてこられて、この部屋で寝ることになったんだっけ。
 それで、寝てたら夢でうなされて、鷹政さんが来てくれて……いつの間にか朝になっていた。
 十二畳くらいの広い部屋。
 ベッドフレームに薔薇の彫刻がされた外国製のベッドに軽くてふわっとした布団。
 壁は白く、アラベスク柄のベージュのカーテンとの組み合わせはシックで上品だ。
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