昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 鷹政さんは『お前が好きだから迎えに来たんだ』と私に言った。
 例え父に捨てられても、彼が私のことを思ってくれている。
 それは私にとっては生きる希望。
 初めてこの世に生まれてきてよかったと思った。
 彼に出会えたことを神に感謝しなければ。
 まだ鷹政さんの許嫁になった実感はないけれど、彼のそばにいられるだけで満足。
 ずっと鷹政さんの寝顔を見るのもいいけど、起きた時にどういう顔をしていいかわからない。
 屋敷の庭でも散歩してこようかな。
 彼を起こさないようにそっと布団から出ようとするも、私がもぞもぞ動いたせいで彼も寝返りを打って、なぜか抱きしめられる格好になった。
 思わず石化する私。
わー、わー、ぎゃ~!
 顔は美形で細身でも、彼はやはり大人の男性。
 私の身体がすっぽり覆われてしまっている。
 おまけに顔が彼の胸に密着。
 こういう場合、どうすればいいの?
 心臓がバクバクしている。
 鷹政さ~ん、もう一度寝返り打ちませんか?
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