昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
心の中で話しかけるが、彼は動かない。
 今度は思い切って声をかけてみる。
「鷹政さん?」
 だが、反応がない。
「た、鷹政さん、私、私の心臓がおかしくなりそうです」
 実際、どう息をしていいかわからなくなってきた。
 だって息を吐いたら、私の吐息が彼にかかってしまう。
 どうやって呼吸すればいいの?
「私……呼吸困難で……死にそう」
 か細い声で訴えたら、ククッと彼の笑い声が聞こえた。
「鷹政さん? 起きてます?」
 上目遣いに見たら、彼は少し抱擁を緩めて私を見た。
「おはよう」
 極上の笑みを浮かべる彼。
「おはようございます」
 条件反射で挨拶を返すも、その神々しい笑顔に見惚れてしまう。
 なんて笑顔が素敵なの。
「よく眠れたか? 目の下の隈が薄くなった気がする」
 彼の指が目元に触れてドキッとする。
「そ、そんな見ないでください。恥ずかしい」
 つい自分の手で鷹政さんの目を塞いだら、彼がハハッと声をあげて笑った。
「恥ずかしいって、キスだってしたのにな」
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