昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 私のバカ。大声で言ってどうするの!
 あー、絶対屋敷中に今の聞こえたに違いない。
 穴があったら入りたいよ、もう!
 弥生さんに手伝ってもらって水色のワンピースに着替えた。
「洋服着るの、女学校以来です。なんだか足元がスースーする。これも鷹政さんが?」
 ワンピースの裾を掴みながら尋ねると、彼女はコクッと頷いた。
「そう。昨日の朝、百貨店に頼んで持ってきてもらったの。『凛は淡い色が似合うから水色やピンクがいい』と言ってね。この部屋だってあなたが寛げるように急遽家具とか揃えたのよ」
「私……鷹政さんになにもしてあげてないのに」
「なに泣きそうな顔してんの。なにもしなくたって凛さまが笑顔でいればあの方だって喜ぶわ。凛さまといる時、凄く表情が柔らかくなるもの。優しい方だけど、基本鷹政さまはクールなのよ」
「クール。ああ。モサ男が素の姿ってことですね。今は結構いろいろ笑ってくれますけど」
 私の言葉を聞いて弥生さんはキョトンとする。
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