昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】

「モサ男？」
「いえ、なんでもないです。こっちの話で。あの、弥生さん、お願いがあります。聞いてくれますか？」
　鷹政さんは私のために部屋や服を用意してくれた。
　その厚意に甘えてばかりいてはダメだ。私も彼のためになにかしたい。
　弥生さんに頼んでキッチンを貸してもらい、玉子焼きを作る。
　前に美味しいと言ってくれたから、喜んでくれるといいな。
　青山家のキッチンにはレンガのオーブンがあってテンションが上がった。オーブンがあれば、パンが焼ける。一度パンを作ってみたいと思っていたのだ。
　食堂には六人がけの大きな丸テーブルがあって、弥生さんの話では朝は鷹政さん、伊織さん、右京さん、幸太くんの四人が座って食事をするらしい。
　弥生さんもたまに一緒に食事をすることがあるけど、いつもは他に三人いる女中さんたちと鷹政さんたちの後で食べるとか。
　鷹政さん、伊織さん、右京さん、幸太くんの四人が次々とやってきてテーブルに着く。ボーッと突っ立ってその様子を見ていたら、鷹政さんが左側の空いてる椅子に手を置いて私に言った。