昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
いつもお昼はひとりだったものだから、ついついしゃべりすぎてしまった。
森田さん、ごめんなさい。
少し反省しながら私も素早くお昼を済ませてタイプを始める。
今日は定時で上がって琴さんとコロッケでも作ろうと思っていたのだが、上司に契約書の翻訳を頼まれて、結局仕事が終わったのは午後八時過ぎだった。
今いるのは私と佐々木さんと森田さんの三人だけ。
「凛ちゃん、今日は遅いね。家まで送っていこうか?」
佐々木さんが私の席にやってきてそう申し出てくれたのだけれど、笑顔で断る。
「いえ。弟が迎えに来てくれるので」
それは真っ赤な嘘だが、うちが伯爵家というのはあまり会社の人に知られたくない。自分を伯爵令嬢とは思ったことはないし、人に色眼鏡で見られたくはないのだ。
「へえ、弟がいるのか。今度会ってみたいな」
彼が弟に興味を示したので、遠回しに無理だと伝える。
「でも弟はまだ学生で忙しいんですよ」
「そう、残念だな。じゃあ、お先に」
彼が仕事場を出ていくと、フーッと息を吐いた。
森田さん、ごめんなさい。
少し反省しながら私も素早くお昼を済ませてタイプを始める。
今日は定時で上がって琴さんとコロッケでも作ろうと思っていたのだが、上司に契約書の翻訳を頼まれて、結局仕事が終わったのは午後八時過ぎだった。
今いるのは私と佐々木さんと森田さんの三人だけ。
「凛ちゃん、今日は遅いね。家まで送っていこうか?」
佐々木さんが私の席にやってきてそう申し出てくれたのだけれど、笑顔で断る。
「いえ。弟が迎えに来てくれるので」
それは真っ赤な嘘だが、うちが伯爵家というのはあまり会社の人に知られたくない。自分を伯爵令嬢とは思ったことはないし、人に色眼鏡で見られたくはないのだ。
「へえ、弟がいるのか。今度会ってみたいな」
彼が弟に興味を示したので、遠回しに無理だと伝える。
「でも弟はまだ学生で忙しいんですよ」
「そう、残念だな。じゃあ、お先に」
彼が仕事場を出ていくと、フーッと息を吐いた。