昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 あ~、どうするの?
 初夜も夫婦になるのに大事な儀式。決して避けられない。
 今着ているウエディングドレスに着替える時に、弥生さんにそれとなく『初夜ってなにをすればいいですか?』と聞いてみたのだけれど、彼女は真っ赤な顔で怒った。
『そ、そんなの未婚の私が知るわけないでしょう! 自分で考えなさい!』
 姉にも尋ねたが、『フフッ、凛頑張ってね』と曖昧に微笑んだだけ。
 弟が『凛姉さん、なにか心配事?』と私が悩んでいることに気付いてくれたが、弟にこの問題を聞くわけにもいかず、笑ってごまかした。
『ううん。式の準備で早起きしたからちょっと疲れただけ』
 誰か教えてほしい。
 神前式のように初夜に手順ってあるの?
 手引書でもあればいいのに。ああ、困ったわ。
 悩んでいた私は新郎と新婦の席にやってきた春子さんにコソッと尋ねた。
「春子さん、初夜ってなにをすればいいの? 誰も教えてくれないのよ。もう春子さんだけが最後の頼みの綱なの。教えて!?」
 
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