昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 人目を気にしてパッと手を放す私を見て鷹政さんはクスッと笑う。
「もう、鷹政さんのせいでみっともないところ見られたじゃないですか!」
 上目遣いに今日夫となった人を見るが、彼は悪びれた様子もなくフッと笑った。
「みんな俺たちのことを仲睦まじい新郎と新婦だと思っている。俺も凛と一緒になれて幸せだ」
 照れずにそんな台詞(せりふ)を言う彼はつくづく凄い人だと思う。
「私もとっても幸せです」
 ハニカミながら返したら、パシャッと写真機の音がした。
 音の方に目を向ければ右京さんが私の写真を撮っていた。
「今の表情いただきましたよ。次はふたり並んで笑って」
 彼の指示に苦笑いする。
 笑えと言われても女優さんじゃないのでうまく笑えない。
「凛さま、まだまだ表情が硬いですよ。ふたりもっと顔を近づけて寄り添ってください。ほら、幸せそうに微笑んで」
 いろいろ注文が多くないですか、右京さん。
「凛、今食べたいものは?」
 鷹政さんが私の肩を抱いて顔を寄せる。
 今食べたいもの?
 
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