昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「ちなみにベガとアルタイルは七夕の織姫と彦星としても有名だ」
 私の肩を抱き、彼は学者のような口調で話した。
「鷹政さん、星詳しいですね。学校の先生になれますよ」
 その知識に感心する私に彼は真剣な眼差しで言う。
「今勉強した」
「え? 今ですか?」
 声をあげて私が驚くと、彼はクスッと笑った。
「冗談だよ」
「もう鷹政さん、真顔で嘘とか冗談言わないでください。信じちゃいますよ」
 ドンと鷹政さんの胸を叩いたら、彼は私を抱き寄せた。
「本当に凛は騙されやすいな。だから俺が守らないと……一生」
 愛おしげに私を見て彼が唇を重ねてくる。
 もうよく知ったその唇。
 彼の肩を掴んでそのキスに応えると、彼の舌が口内に入ってきた。
 でも、今はもう驚きはしない。
 お互い舌を絡ませ激しくキスをする。
 だが、それだけでは足りない。
 もっと彼に近づきたい。
 彼が欲しい――。
 そう感じた時、鷹政さんが私を抱き上げて、布団まで運んだ。
 部屋は間接照明がついているだけで薄暗い。
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