昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 吐き気がしてトイレに駆け込むと、弥生さんが心配してあとを追ってきた。
「凛さま、大丈夫?」
 声をかけられるが、辛くて返事ができない。
 戻して少し吐き気が収まると、トイレを出た。
 騒ぎを聞きつけたのか、鷹政さんもいて私の肩をそっと抱く。
「どうした? 体調が悪いのか?」
「いえ、ちょっと食べ物の匂いで気持ち悪くなっちゃって……。先週くらいからそんな感じで」
 彼を安心させたいが、笑う元気もない。
 もうぐったり。しばらく横になって休みたい。
「凛さま、顔が真っ青よ。病院で診てもらった方がいいわ」
 弥生さんのアドバイスにもなにも返せない。
 その時、ふらっと清さんが現れた。
「それは悪阻じゃ」
 その衝撃発言にこの場にいた皆が驚いた。
 え? 悪阻?
 鷹政さんと見つめ合う。
 なにも言葉を発しない彼の背中を清さんが肘でグリグリする。
「身に覚えがあるじゃろ?」
 清さんの弄りをスルーして、鷹政さんは伊織さんを呼んだ。
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