【短】魔法使いが降って来た夜

「パパ、ママ、早く~」

「お月様は逃げないよ? そんなに駆けると転ぶぞ」

「そうよ。危ないから手を繋ぎましょうね」

「はぁい」


アタシはパパとママの間に入り、両手をつながれお月サマのよく見える高台へ

ここは、夏 花火を見るときの絶景ポイントなの


「さぁ、折角来たんですもの。綺麗なお月様に感謝してパーティしましょう」

「さすが佳菜。用意がいいな」

「ウフフ(笑) 急だったからあり合わせよ」


そう言ったママはカバンから敷物を取りだし


  パッ 


広げた上に、沢山のお料理たちが並べられていく


「瑠偉さん、シャンパンでいいかしら?」

「あぁ。ありがとう」

「月娜はオレンジ・ペコね」

「やったぁ☆」


紅茶の中でもオレンジ・ペコが一番のお気に入り♪



「本当に綺麗だなぁ。何だか降って来そうだなぁ?」

「かぐやちゃん来るかなぁ?」

「(笑)来ても可笑しくないなぁ」


アタシだって“かぐや姫”が絵本のお話だってこと知ってるよ 

でもさ、もし本当にかぐやちゃんがこの地に降りて来たら素敵じゃない?

そんな冗談を言い合っている丁度そんな時


「あら? 何かしら?」

「どうした?」

「ほら、月」


アタシとパパはママの言葉で空を見上げる

あれ? さっきより光ってる 

それに大きくなってる


「かぐやちゃんだわ☆」

「まさか!?」

「案外そうかもしれないわよ。月明かりは、あんなに眩しくはないでしょ?」

「まぁ……な」


光に包まれるかのように一人の人間?らしき姿が

ゆっくり ゆっくり降って来る


「人が寝ながら落ちてくるよ」

「宇宙人かしら?」


アタシ達は、この様子をジッと眺めていた



< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop