【短】魔法使いが降って来た夜
「パパ、ママ、早く~」
「お月様は逃げないよ? そんなに駆けると転ぶぞ」
「そうよ。危ないから手を繋ぎましょうね」
「はぁい」
アタシはパパとママの間に入り、両手をつながれお月サマのよく見える高台へ
ここは、夏 花火を見るときの絶景ポイントなの
「さぁ、折角来たんですもの。綺麗なお月様に感謝してパーティしましょう」
「さすが佳菜。用意がいいな」
「ウフフ(笑) 急だったからあり合わせよ」
そう言ったママはカバンから敷物を取りだし
パッ
広げた上に、沢山のお料理たちが並べられていく
「瑠偉さん、シャンパンでいいかしら?」
「あぁ。ありがとう」
「月娜はオレンジ・ペコね」
「やったぁ☆」
紅茶の中でもオレンジ・ペコが一番のお気に入り♪
「本当に綺麗だなぁ。何だか降って来そうだなぁ?」
「かぐやちゃん来るかなぁ?」
「(笑)来ても可笑しくないなぁ」
アタシだって“かぐや姫”が絵本のお話だってこと知ってるよ
でもさ、もし本当にかぐやちゃんがこの地に降りて来たら素敵じゃない?
そんな冗談を言い合っている丁度そんな時
「あら? 何かしら?」
「どうした?」
「ほら、月」
アタシとパパはママの言葉で空を見上げる
あれ? さっきより光ってる
それに大きくなってる
「かぐやちゃんだわ☆」
「まさか!?」
「案外そうかもしれないわよ。月明かりは、あんなに眩しくはないでしょ?」
「まぁ……な」
光に包まれるかのように一人の人間?らしき姿が
ゆっくり ゆっくり降って来る
「人が寝ながら落ちてくるよ」
「宇宙人かしら?」
アタシ達は、この様子をジッと眺めていた