【短】魔法使いが降って来た夜
不思議な人
どのくらい時間が経ったのかな?
ママの入れてくれたオレンジ・ペコもすっかり冷めちゃった
さっきの光は消え、いつもの静かな夜になっていた
夢……でも見ていたのかなぁ?
「信じられないなぁ。本当に降って来るなんてな?」
「そうね。もしかしたら100年ぶり、……ううん何千年ぶりかの満月なのかもしれないわね」
やっぱり、夢なんかじゃないのね♪
「その人とお友達になりたいなぁ。ここへ来るといいのになぁ?」
「(笑) そう思い通りには、ならないだろうよ」
「さぁ、気を取り直して続きを始めましょうか?」
「そうだな」
「「まんまるお月サマに乾杯~☆」」
ザッ ザッ ザッ
小さな足跡のような音が聞こえてくる
アタシ達は、一瞬顔を見合わせた
「こんな時間に……熊か?」
「この高台に熊が出るなんて聞いた事ないわ」
ザッ// ザッ// ザッ//
音は段々と大きくなる
「お月サマの人よ♪」
「嬉しそうだな」
「だって。お月サマの人と友達になんて夢みたいなんだもん」
「お月様の人かどうか。子供か大人かだって解らないんだぞ」
「絶対お月サマの人よ!! それに、大人の方だって友達になれるも~ん♪」
「こんばんは。お楽しみの所すみません。ボクも交ぜてもらっていいですか?」
声のするほうを振り向く
サラッとした短めの銀髪に、透き通ったブルーの瞳の男の子
絵本の中の王子様が現れたのかと思ったわ
「「………」」
あまりにもキレイな姿にアタシ達は見惚れてしまっていた
それに気がついた男の子が慌てて口を開いた
「あっ、すみませんボク翔(ショウ)です。
さっき、この星に到着したばかりなんです。
今夜寝泊りできる所を探したいんです、何処か紹介して頂けませんか?
右も左も解らないもので」