【短】魔法使いが降って来た夜
☆ おまけ ☆
~ おまけ ~
ボクはある満月の夜、修業をするためにこの地へ降りて来た
その晩、偶然に出会った“前園家”に今もお世話になっている
みんな本当の家族のように慕ってくれるんだ
そんなある日の出来ごと
パタ パタ パタ
元気に駆けてくる女の子
「翔~!」
彼女は、前園家の愛娘の月娜。ボクより三つ年下なんだ
「月娜どうした?」
「今日はね、秘密の場所連れてってあげる~♪」
「月娜はいろんな秘密を知ってるんだね?」
「エヘヘッ☆」
「ここ月娜の学校だろ? さすが名門校、立派な建物だな?」
「そんな事ないよ。普通だよ」
「秘密の場所って学校?」
「違うよ。ここは、通り道。この裏を抜けるの」
まったく(苦笑)
悪戯な笑みを浮かべた月娜について行くと、神社が見えた
その奥行は、生茂った竹林が並んでいる
「ここ?」
「うん♪ ここは秘密の場所その1。かぐやちゃんが現れそうでしょ?」
「月娜は、かぐや姫好きだもんね」
「うん♪」
この神秘的な竹林を目に焼き付ける
「じゃ、次行くよ~☆」
ワクワクしながら後についていく
コンクリートの壁の上を歩き、小さな路地裏を通り抜ける
まるで、先祖は猫では? と思うくらいだ
車も人も少ない静かな道
暫く歩くと紅い屋根に小さな花で囲まれた“可愛い”という言葉がピッタリの木造の建物が目につく