不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

まだ、新入社員の中村さんなら、わからないまま受け取るだろうと渡す人達がいるんです。

なんでも受け取り、仕分けもしてなかったんです。

心の中だけで、言い訳する。

「課長、叱るより、先に手を動かしましょう。手分けすれば、すぐですよ」

「自分の首をしめるな。ちゃんと断れるようになれよ」

「はい」

課長は、他の課の進歩状況を確認しに出て行き、しばらくすると腕まくりをする主任が「一人でお疲れ様でした。残りは手分けしましょう。入力お願いしますね」と優しい声で、パッパと振り分けて、計上できる物、できない物に振り分けてくれる。

こうして主任が振り分けてくれると作業がスピーディーになる。

ホント、無愛想な私にも優しいのだ。

皆、それぞれの作業を黙々とこなしていく。

各テーブルから、終わったと疲労の叫び声が続き、こちらの作業も終わった。

「如月さん、お疲れ様。みんなも頑張ってくれてありがとう。さぁ、課長が戻られたら経理課の打ち上げに行きましょう」

疲れているのは主任も同じなのに、気配りを忘れない。

顔だけじゃなく、こういうところがモテる要因なのだろう。

だが、主任には、まだ仕事が残っていて、報告書を作成しだす。
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