不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

香恋は、ソワソワとして恥ずかしがっていて、あとひとおしか…と

「君のおかげで、仲直りできそうだ。ありがとう」と、店員に言えば、香恋は、照れ隠しで怒り出した。

ぷりぷりと怒る姿も愛おしく、やっと口を聞いてくれたと嬉しくて、手を繋いで歩く。

途中、小野田と最初から約束していた訳ではないとの暴露に、嘘をついてまで小野田をわざわざ呼び出して、俺の相談とはなんだったのか気になるところだが、できたばかりの商業施設内の映画館で上映されている映画の大きな幕が目に入る。

そういえば、ペアシートがどうとか言っていたと思い出し、彼女を映画に誘い、ペアシートの中で一番高いプラチナ席を購入。

舞台などでよくある上階席の個室のように隣の席と仕切られている。

大きなシートは、横になることもでき、誰の目も気にせずイチャイチャできる。

さすがに、いたすことはしないが、キスして戯れ合うぐらい、カップルならするだろう。

映画の内容なんて頭に入ってこないほど、イチャついていた。

俺にも、こんな甘い部分があったのかと思うほど、顔や無防備な首筋にキスして可愛いがる。

ただ、唇へのキスは、俺の理性が飛びそうで避けていた。

好きだと自覚して、唇にキスなんてしようものなら、唇に触れるだけじゃおさまらない。
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