不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

高木さんが疲れた顔で戻り、そのあと、戻ってきた中村さんからは、疲労感が感じられないと思うのは、きっと私だけじゃないはず…

「高木さん、中村さん、棚卸しのお手伝いありがとうございました」

「いえいえ、私なんてほとんどお役にたてなくて、高木さんが頑張ってくれました」

『ねぇ』とふうに高木さんに、にこりと微笑む中村さんに、苦笑した高木さんは、きっと、彼女に頼られっぱなしだったことがうかがえる。

優香が私にだけ聞こえる声でぶつぶつと言ってくる。

『あいつ、こっちの作業から逃げてったくせに、向こうでもサボってたの丸わかりだっての。ないわー』

「主任、どこで打ち上げするんですか?」

「いつも利用している居酒屋だよ」

まだ、報告書を作成中の主任に、中村さんがまとわりつく。

「私、お酒に弱くて、すぐ酔っちゃうんです。私、酔っちゃうと、甘えん坊さんになるみたいで…主任に甘えちゃうかも。お酒飲み過ぎないように見ててくれますか?(私を酔わせてお持ち帰りしてください)」

あざと可愛い中村さんから、副音声つきで聞こえるのは、私だけ?

高木さんはニヤけてるし、山崎さんは可愛いって顔で目がデレてるし、救いなのは、主任の一切変わらない表情。
< 11 / 183 >

この作品をシェア

pagetop