不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「その日、飯に誘ってお金がないってかっこつかないだろ。だから、コンビニでお金おろした時に、買ってきたんだよ」
「そうなんですね。ありがとうございます」
他の誰かの忘れ物じゃなく、彼が私の為に用意してくれていたのだと知って、つっかえていたモヤモヤがなくなった。
「いや、ちょっと待て。そこは、どうして買ったか聞くだろう?」
「必要だと思ってくれたからですよね」
「そうなんだけど…はぁぁ…、お前を連れ込む気満々で用意してたんだぞ。そこは、ほら、言いたいことあるだろ?」
「関係を続けてもいいって思ってくれたんですよね」
「そうだよ。そうなんだけど…あーもう、いいわ。兎に角、この部屋にお前の物、持ち込んでいいから…メイク落としシートが必要なら、また買っとく。いや、昼から、必要な物、買いに行こう」
好きとかは言ってくれないが、ここまで態度で示してくれたことが嬉しい。
今は、これで十分だ。
いつか、ちゃんと言葉にしてくれると信じて、私が、その分、気持ちを伝えようと思う。
「はい」
嬉しくて微笑む私を、照れ臭い彼は見下ろし顔を近づけてきた。
あ、キスされると目を閉じる…
彼の唇が触れ、離れていく。