不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
全然足りなくて、彼の唇を追いかけてキスを続ける。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ
視線を絡めて、戯れのキス。
「ほんと、キス好きだよな」
キスの合間の聖也さんの揶揄いに、思いを伝える。
「聖也さんとする、キスが好き」
動きが止まる聖也さんを見ながら、そのまま抱きついて「好きです」と囁く。
頬を赤らめた彼は、隠すように片手で顔を覆い、私の背を抱きしめていた。
週明けは、やたらとテンションが高い優香によって、昼休みは、構内にいくつかある東屋の一つへ連れて行かれる。
「ここなら、誰にも聞かれないわ。もう、ずっと、うずうずしてたんだからね」
「こんな場所まできて、何の話?」
「わかってるくせに。金曜の主任、同一人物よね」
「そうだよ」
「あの猫可愛がり具合は日常的なの?」
「…うん。話声、聞こえてた?」
「残念ながら聞こえなかったわ。だけど、香恋の頑張りはわかったわよ。『よそ見しちゃいやです』とか言ってたんじゃない⁈」
「本当に聞こえてなかったの?」
真っ赤になりながらの抗議に、優香は笑う。
「砂糖を舐めてる気分だったわ。もうさ、あれで付き合ってないって不思議なんだけど、本当にまだ付き合ってないの?」
「うん。どうしたら、付き合えるの?」
「…好きって言葉にした?」