不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
優香は、口を開けてすごい表情。美人さんが台無し。

私も、中村さんのように可愛いければ、主任にアピールできるのに、キツイ顔つきが、男性には可愛いと見られないと知っているせいで、彼女を羨ましく思うしかできないのだ。

「中村さんって見た目通り可愛いんだね。でもね、僕もお酒はあまり強くなくて、すぐ酔っちゃうんだよ。だから、中村さんが飲み過ぎないように見ることできなかったらごめんね」

下心を感じさせず、やんわりと断りを入れる姿に、主任、すき♡が心のうちで溢れるのだ。

優香が、ニマニマと私の顔を見て笑っているので、心のうちを見透かされているらしい。

主任が、報告書の作成が終わった頃を見計らったように、課長が戻ってきた。

「おー、待たせたな。今年度も幸先のいいスタートがきれた。お疲れさん。打ち上げに行ってこい。大小路、任せたぞ」

課長は、財布から万札を数枚取り出し主任にお金を渡す。実費でご馳走してくれるのだが、飲みの席には毎回不参加だった。

自分がいると、若い私達が楽しめないだろうという気遣いからで、課長は課長で、他部署の役付と飲みに出るのだろう。

「えー、課長来られないんですか?」

「役付きの付き合いがあるんだ。悪いな…中村の歓迎会してやらなかったっ分、楽しんで来い。じゃあな」
< 12 / 183 >

この作品をシェア

pagetop