不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
そこで、頑張れず、自分から辞めるだろと上の見立てだったらしい。
だが、意外にも彼女はそこで頑張っていると課長からの話。
資材部の社員がいなくなり、急遽、誰かがその席につかなければならないのだが、なかなか見つからない。
その件もあり課長は、会議とかで頻繁に留守が多くなる。
適任者が見つかるまで、主任が代わりに務めることになり、また、週末でしか会えない日々が始まる。
「如月さん、すみません」
「はい」
経理課のカウンターに立つ男性は、最近、営業に配属された宮内さんだった。
まだ、営業の他の事務作業に慣れないようで、週2から3回のペースでやってくる。
「宮内さん、今度は大丈夫ですか?」
「ほんと、すみません。お願いします」
毎回、経費として認める為に報告書を領収書と提出していただくのだが、その作業が苦手らしく、何度も再提出を繰り返している。
「…抜けていたのは課長印でしたね。はい、確認しました。ありがとうございます。提出前の確認、怠らないように気をつけてください」
「いつもすみません。真っ先にしなきゃって思ってるんですけど、なかなか、覚えることばかりで後回しになるんです。気をつけます」
「経費で落とせなかったら、困るのは宮内さんですよ」