不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「はい。それでいつもご迷惑おかけしてるお詫びとして、食事に誘いたんですが、いかがですか?」
「私は、迷惑かけられてないので、大丈夫ですよ。うちの課長にご馳走してあげてください」
ブハッと、どこからか聞こえる声に、振り向くが、皆、作業に集中している。
気のせいかと、宮内さんへ顔を戻すと複雑そうにしていて、「また、きます」と帰っていった。
えー、気をつける気さらさら無いの?と呆れてしまった。
山崎さんは、なぜか、残念な子を見る目で通り過ぎて、通常運転で備え付けの小さなキッチンでコーヒーブレイクが始まる。
席につくと、目の前とその隣の肩が揺れている。
「ふ、ふ、ふふふ。もうダメ。お腹痛い」
「あはは、ほんと、香恋ちゃん。ナイスです」
なに?
「面白いことあったの?」
「あったでしょ⁈」
「わかんないよ」
「いや〜、主任いなくてよかったですね」
「ほんとね」
「意味不明で理解できない」
「いいの。そのまま気がつかない方が安全よ」
「なに?私、危なかったの?」
「そう、危なかったの」
「でも、報告はしておきます」
「頼んだわ」
「面白くなりそうな予感ですね」
のんびりと山崎さんが、微笑んでいた。