不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
恥ずかしがっている香恋が可愛く、彼女の頬を撫でて可愛がる。
「香恋こそ、俺を待たせて何してたんだ?」
「待ってたんですか?」
「グラス二杯分ぐらい待ったな」
「ごめんなさい。あっちの席で優香と飲んでたの」
香恋が指さす方向に、小野田が何やら興奮気味に凝視していて、笑える。
「もう、いいのか?」
「うん。斗真さんが来るみたいだし」
「じゃあ、一緒に帰ろう」
「いいの?」
優しい香恋は、隣の女を無視できなかったようだ。
「飯島さん、彼女が来たので俺は帰ります。新さん、チェックお願いします」
カードで清算し、「じゃあ、お先です」と香恋と手を繋いで出ようとした。
「ちょっと、聖也くん…私の相談は聞いてくれないの?」
はぁー。
面倒な女だ…
香恋をその場に待たせて、飯島の前に立った。
もう、この女と仕事する日も数日。
そう思うと、溜まっていたものが一気にでる。
波風立てずに過ごす俺らしくなく、冷たい言葉が出た。
流石にプライドが傷ついたのだろう飯島は、顔を真っ赤にさせ、わなわなと肩を震わせた後、飲んでいた酒をかけようとしていたが、それで気が済むなら、浴びてもいい。