不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
なんか、もう…伝わらない。
自分から好きだとはなかなか言えない。だが、何かきっかけがあれば言えるのだと…多分。
直接的な言葉は、まだ言えてないが、ここまで言えば伝わるだろう。
「はい」と、嬉しそうに微笑んでいる香恋。
俺の気持ちは、届いていると、そう思っていた。
数日して、経理課に戻ったが、また、製品管理課に逆戻りにされる。
こういうところは、会社勤めの辛いところだ。
NOと言えない辛さ。
やっと、香恋を同じ環境で愛でれると思っていた俺には、ショックでしかなかった。
飯島が、パートや派遣に暴言を吐いた。
それに怒った一団は、ボイコットを決行。
やってくれる。
資材部が動かないと、下請けも工場も止まる羽目になる。
売り上げを下げる訳にはいかないので、誰かが資材部で製品を出していかないといけない。
経験者の俺と、何人かが駆り出される。
全員に一から教えて、作業させるまで半日かかり、慣れるまで数日かかるだろう。
早く、なんとかしてほしいと作業する日々。
飯島は、主任からヒラになり、工場へ異動が決まり、パートも派遣も戻ってきてくれた。
だが、資材部の社員がいなくなり、また、同じ問題がおこることを危惧している上は、人材選びに難航している。