不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「そりゃ、…如月さん、全く気がついてないですからね。今までも、そうだったじゃないですか⁈だから、難攻不落で、誰もが口説くのは諦めてたんですよ。それが…主任とできてるだなんて知られたら大騒ぎですよ」
「そんなもの知るか。そんなことより、その宮内って男、香恋にちょっかいかけているのか?」
高木の言うことが本当ならば、なんとか防がなければと、聞き返した。
「まだですけど、俺の見立てでは、怪しいんですよね。やることが小細工過ぎて、何度も同じことを繰り返してるんです。好きな女を口説くには、陳腐なんですよね。優香ちゃんなら邪魔しますけど、如月さんは俺の彼女じゃないので、阻止しませんよ。優香ちゃんが、聖也さんに知らせろって言うので、報告させて頂きました」
ご苦労。
小野田に褒美をやらねば…
「わかった。また、何かあれば教えてくれ」
「いいですけど、早く、戻ってきてくださいよ。俺に負担ばかりで、優香ちゃんとイチャイチャする暇もないぐらい、こき使われてるんですよ」
「俺だって、早く戻りたいよ」
男、2人で、互いに違う内容でため息をつくのだった。
それから、数日経った金曜。
俺が経理課へ戻ることが決まった。