不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「でしょ。もうね、思春期の若者かって感じ」
「わかります」
なぜか、中村さんと優香は意気投合して手を取り合っている。
出勤しだして数日なのに、洞察力のある中村さんに、私はタジタジとなるのだ。
昼の始業時間が始まり、早速。
「如月さん。悪いけど、この書類を営業まで持ってて再提出お願いしてきてくれる?」
「はい」
中村さんに感化された私も、いつになく張り切って返事してしまう。
「頼んだよ」
一瞬だけ、聖也さんと視線が絡み、甘く微笑まれた気がして、余計に、張り切って向かった。
営業の部署は、すぐ上の階にある為、階段を使う。
上がっていると、上から勢いよく駆け下りてくる男性とぶつかりそうになって、よろけた。
「うわっ、如月さん、大丈夫?」
「あっ、はい。大丈夫です。宮内さんは大丈夫です?」
無意識に、顔にかかった髪を耳にかけながら、相手の体に異変がないか確かめる。
「…俺は大丈夫。ほんと、ごめんね。経理に提出した書類の不備に気がついて、慌てて降りてきたんだ」
「あっ、これですか?」
「…そう、これ。助かる…直したら持っていくよ」
「はい、お待ちしてます」
経理課に戻って主任に報告した後、しばらくして、先程の宮内さんがやってきた。