不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
打ち上げが始まり、それぞれ食べたい料理を頼み、主任の『今月もお疲れ様でした。来週から、またお願いします』と、簡単な挨拶で乾杯し、楽しい打ち上げになるはずだった。
楽しくないのは、私だけなのだけど…
隣の優香は、高木さんといい感じで盛り上がっているので、邪魔はしたくない。主任と中村さんが会話して、経理課、ただ1人の既婚者の山崎さんとお子さんの話をする私の図ができていた。
「うわー、可愛いですね」
「だろ。如月さんも早く結婚しなよ。子供って可愛いよ」
はい、アウト。山崎さんは悪気はないとわかってますよ。でも、彼氏もいない女子に言っちゃいけません。
「そうですね。いつか結婚できたらいいですね」
「相手はいるの?」
はい、ツーアウト。
山崎さんがチラッと主任を見てしまったのは、どうしてだろう。
「今は、まだいないです。いつか、素敵な人に出会えたらと思ってます」
「そんなこと言ってたら、如月さん売れ残っちゃいますよ。私は、先輩の歳には結婚して子供を産みたいので頑張りますけど」
横から、口を挟んでくる中村さんが、意味深に主任に体を寄せる姿が目に入り眉尻がぴくつく。
余計なお世話よ。そのケンカ買いましょか?