不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
保管庫と名前のままだが、ペーパーレス化が始まり、今は物置部屋となっていて、あまり使われていない。
ドアを開けると、待っていたかのように腕を掴まれて、引き込まれる。
そして、ガチャリと鍵が閉まる音。
掻き抱く勢いで、抱きしめられて唇が触れ合う。
チュウ〜と音が鳴るように息ごと唇を吸われ、酸欠。
苦しくて、彼の肩を何度も叩いた。
離してくれなくて、無理やり離れたら唇がジンジンして痛い。
「どうしたんですか?痛いです」
「わざとだからな」
「ひどい」
「ひどいのは、香恋だろ。俺がいるのに、他の男の気をひく香恋が悪い」
「なんのことですか?気を引くなんてしてませんよ」
「本当にわからないのか?」
「わかりませんよ」
「鈍いにもほどがあるだろ。最近の香恋、愛想が出てきて、あーやって勘違いする男がいるって分かれよ」
「…宮内さんのことですか?」
「そうだよ。無愛想の香恋に戻れよ。じゃないと、あーいうやつが、また出てくる」
なんだか、いい大人が拗ねてヤキモチを妬いているようにみえる。
「ヤキモチですか?」
「…そうだよ。ヤキモチやいちゃダメか?」
「嬉しいです。聖也さんが妬いてくれるなら、これからもっと愛想よくするのもいいですね」