不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

抱きしめていた体を更にぎゅっと抱きしめてきた聖也さん。

「そんなこと言うなら、見えるとこに俺のしるしだって、いっぱいつける」

首を狙って、顔を傾げる人の顔を、両手で塞いだ。

「ダメ、絶対ダメ」

両手首を掴まれて、壁に拘束される。

そして、指先を絡めて握ってくる。

不穏な気配に

「ダメですからね。つけたら、口ききませんよ」

脅しにもならない脅しで防御するが、効果はあったようだ。

「…はぁぁ、卑怯だぞ」

「私の身にもなってください」

「男避けになるのに」

もう…

お互いの気持ちを確認してから、聖也さんは変わった。

「私は、聖也さんしか見えてませんよ。ヤキモチ妬いてくれる聖也さんも好き」

抱きついて照れ臭さい顔を隠し、負けじと気持ちを伝えてくれる。

「ヤキモチ妬くほど、好きだ」

ほんの数日前までは、おもわせぶりな言葉ばかりだったのに、こうして伝えてくれるようになったのは、嬉しい。

ちょうどチャイムが鳴り、私を離した聖也さんは私の唇を撫でて苦笑し、「悪い。少し、やり過ぎた。メイク直してから戻ってこいよ」と言って先に出ていった。

私は、急いでトイレに駆け込み鏡を覗くと…

見事に、唇の縁まで赤いです。

聖也さん(怒)
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