不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
これ、絶対バレるヤツ。
もう、もう、も〜と憤慨しても時間が過ぎていくばかりで、仕方なく僅かながらの努力で、水で口元を何度も濡らし冷やすのだった。
どうにもならないと諦めがつくと、なるべく目立たないように顔を下向きに歩いて、自分のデスクへ。
向かいと真横の2人が視線を合わせて、ニヤついているとは…
終業後の更衣室で、2人に捕まり、囲まれる。
そして中村さんと優香は、馬が合うらしく声を揃えてくる。
「休憩中、なにしたの?」
「休憩中、なにしてたんです?」
「えっ、なに?トイレだよ」
「警部、偽証です」
「中村巡査、例のものを」
小喜劇が展開される。
スマホで撮った画像で、保管庫のドアを開ける私が、誰かに引き込まれる画像を見せられる。
「撮ってたの誰?」
「これは、ある人物からの情報提供だ」
ある人物って…この2人じゃないなら、1人しかいない。
「大小路主任が保管庫に向けて歩いている姿の目撃情報もあります」
「さぁ、如月さん、白状したまえ」
詰め寄ってくる2人。
「もう、やめてよ。ご想像の通りです」
2人に腕を組まれて、更衣室のベンチに座らされる。
「なになに、主任、宮内さんにヤキモチでも妬いたの?」