不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「唇の縁が赤くなるキスって…吸いつかれたんですね。愛されてますね」
「揶揄わないでよ」
「主任って香恋のことになると、感情隠せないみたいね」
「ですよねー」
「そうかな?」
「誰にでも、穏和な態度を崩さない人が、敵を見るような目で宮内さんを見ていたんだからね」
そうなんだ…
頬が緩んでいく。
「休憩に、2人していなくなるんだもん」
「これは、何かあるなって思ってました」
あの時の聖也さんは、私だけのもの。
ヤキモチ妬いて、愛想よくする事に嫉妬してくれて、キスというお仕置き。
「宮内さん絡み?」
「教えてください。モヤモヤします」
「言いません。…お先」
2人の腕をすり抜けて歩いていると、門の前で立つ後ろ姿に、ドキドキする。
見覚えのある背中に、声をかけた。
「主任?」
「よかった。連絡したけど既読つかないから、帰ったのかと思った。一緒に帰ろう」
「どうしたんです?」
待っているなんて、初めてだ。
だが、人の目もあるし、いいのだろうかと辺りを見渡す。
そんな私の手を繋いできた聖也さん。
「せいやさん⁈見られてますよ」
「いいだろ。俺たち付き合ってるんだし、恋愛禁止とかじゃないんだから、堂々としてろよ」