不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「唇の縁が赤くなるキスって…吸いつかれたんですね。愛されてますね」

「揶揄わないでよ」

「主任って香恋のことになると、感情隠せないみたいね」

「ですよねー」

「そうかな?」

「誰にでも、穏和な態度を崩さない人が、敵を見るような目で宮内さんを見ていたんだからね」

そうなんだ…
頬が緩んでいく。

「休憩に、2人していなくなるんだもん」

「これは、何かあるなって思ってました」

あの時の聖也さんは、私だけのもの。

ヤキモチ妬いて、愛想よくする事に嫉妬してくれて、キスというお仕置き。

「宮内さん絡み?」

「教えてください。モヤモヤします」

「言いません。…お先」

2人の腕をすり抜けて歩いていると、門の前で立つ後ろ姿に、ドキドキする。

見覚えのある背中に、声をかけた。

「主任?」

「よかった。連絡したけど既読つかないから、帰ったのかと思った。一緒に帰ろう」

「どうしたんです?」

待っているなんて、初めてだ。

だが、人の目もあるし、いいのだろうかと辺りを見渡す。

そんな私の手を繋いできた聖也さん。

「せいやさん⁈見られてますよ」

「いいだろ。俺たち付き合ってるんだし、恋愛禁止とかじゃないんだから、堂々としてろよ」
< 153 / 183 >

この作品をシェア

pagetop