不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「そうですけど…自分がモテてるって自覚ありますよね」

「あるけど、なに?」

「彼女いるってバレていいんですか?」

「いいから、こうして手を繋いでる。香恋は嫌なの?」

「私は、大歓迎です」

「なら、いいんじゃない」

先程まで、優香達に揶揄われて恥ずかしい思いをしたことも、どうでもよくなる。

単純な私は嬉しくて、手をぎゅっと握ると、ぎゅっと握り返されて、微笑まれる。

「帰ろう」

「はい」

晩御飯の買い物を2人でして、聖也さんのお部屋で一緒に料理して、他愛もない会話しながら食事をして、食べ終わった食器を洗う横で、聖也さんが食器を拭いている。

こんな日常が続いていけばいいな…なんて思う。

「なぁ」

「なんですか?」

「隣と行き来するの面倒だろ。もうさ、一緒に住まないか⁈」

想像もしていない言葉に、手が止まる。

「本気、ですか?」

「本気だ。まだ付き合って短いけど、もう香恋のいない日常なんて考えられない」

「えっ?」

「俺をこんなふうにした責任とれよ」

突然、ガバッと抱きしめてきたので、両手を宙で彷徨わせる。

「抱きしめたいです」

「抱きしめろよ」

手首を逸らして、腕だけで抱きしめる。
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