不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
だから、私も、彼の衣服を脱がしていく。
それが、彼を喜ぶ行為とは思わず。
「積極的だな。待てないなら、ベット行く?」
揶揄いながらも浴室のドアを開いて、洗面所の扉の中から、四角い箱が出てくる。
ご用意のいいことで。
「それなんですか?」
「わかってるだろう」
「わかりますけど、どうして、そんな場所にあるんですか?」
「日用品だから」
確かに日用品ですけどね…
する気満々で悪びれる様子もなく、中から一枚出して咥え、浴室内へ背を押された。
私の複雑な気持ちをよそに、聖也さんは、パッケージを咥えたまま、ご機嫌で、私の頭を洗い、体も洗って、ついでに自分もさっさと。
まぁ、手際のいい。
ほんと、嫉妬します。
ぎゅっと抱きつくと、彼の両手の指が怪しく動くので、その手をピシッと払い先に牽制はします。
咥えたまま「どうした?」とくぐもった声。
「聖也さんの動作が手慣れてて、嫉妬してるんです。私だけの聖也さんなのに、他の人の影がチラつくのイヤです」
咥えていたパッケージを手に持ち替えて、浴室での壁ドン。
目の端にチラつく物に、喉が渇いていく。
「嫉妬して可愛いやつ。香恋だけだって教えてるのに、まだ足りない?」
「足りないの。私だけが知る聖也さんを教えて」
「じゃあ…」
耳元での囁きは、私の思考を覗いたのではと思う言葉で、思わずこくりと頷いた。