不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
その後、妊娠が発覚するのは、体調の悪さに病院へ行った時だった。
「香恋、大丈夫か?」
ソファの横で彼が、床に胡座をかいて私の顔色を伺っている。
「…おかえりなさい」
「ただいま。まだ、顔色が悪いな」
体を起こして、ソファに座り直すと、隣に聖也さんも座り、私の肩を抱き寄せた後、おでこを合わせていた。
「少し、熱あるんじゃないか⁈」
「微熱だと思う」
「その割に、辛そうだぞ」
聖也さんの手を握る。
一緒に暮らすようになり、恋人同士のように会話できるまでなったが、久々に緊張する。
「あのですね」
「どうした?深刻な病気なのか?」
「違います」
緊張する私に彼も何か感じとり、顔が強張っていた。
握っていた彼の手を私のお腹に当てる。
「ここにね、赤ちゃんがいるの。2ヶ月だって」
「…」
固まって無言の聖也さんに、不安が陰る。
おもむろに聖也さんは立ち上がって、背を向けて数本歩き、腰に手を当ててから大きく息を吐いた。
そして、戻って来てソファに座り直し、私を見つめて手を握り、緊張している彼。
なかなか言葉が出てこず、こちらも緊張が増す。
「…香恋、結婚してほしい」
ありきたりなプロポーズ…
だけど、心に響く愛の言葉だった。