不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

聖也side

聖也side

俺が経理課に戻った日に、中村も戻ってきた。

自分の心ない発言で傷つけたから来ないのだと責任を感じた課長は、中村をずっと説得していた。

だが、まさか、中村が課長を好きになるだなんて、誰が想像できただろう。

まぁ、見た目も厳つい顔だし、言葉使いも悪いが、根は責任感が強く、優しいいい人だ。

バツがついている理由は、あの口の悪さで嫁と険悪になり出ていっただけで、子供もいないので、再婚を諦めている節がある。

だが、グイグイいく中村に、絆されるのも時間の問題だろう。

そんなことよりだ…

なんだ⁈この男。
手にある営業からの報告書。

完璧に書かれているようで、不備が見つかる。やたらとわざとらしいミスだと感じた。

例の宮内って男らしいが、気に食わない。

だが、これをこのままにしておけず、香恋に声をかけた。

「如月さん。悪いけど、この書類を営業まで持ってて再提出をお願いしてきてくれる?」

「はい」

「頼んだよ」

香恋と視線が絡み、目元が緩む。
呼んで正解だったと、香恋を見送った。

だが、その宮内って男と階段で会ったので渡してきたとの報告に、イラッとなる。
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