不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
お酒に弱いなら断ればいいのに。やっぱり、主任もあーいう可愛い子を酔わせてお持ち帰りしたいのかなって悲しくなっていたのだが、中村さんが完全に潰れて寝てしまうと、主任は、ホッとしたのか、両手を後ろについて、天井を見上げ大きく息を吐いた。
「主任、お疲れ様でした」
高木さんが労うと、「あーマジ、勘弁して。キツー。どこが弱いんだ⁈結構、飲んだぞ。お前、小野田さんとじゃれてないで助けろよ」
珍しくお酒に酔った主任は、いつもの物腰の柔らかさはなく、こちらが素の彼なのだろうとうかがえる。
「邪魔しちゃいけないと思って」
にかっと笑う高木さんに、主任は、お手拭きを投げつけヒットする。
「先輩、ひどい。小野田さん、見てた?後輩いじめ。俺、悲しい」
泣き真似の高木さんに、一瞬の沈黙の後、みんなで笑った。
「それ中村さんの真似ですか?」
「似てた?」
「いえ、気持ち悪かったです」
「優香ちゃん、ひどいな」
あれれ?いつのまにか優香ちゃん呼びですか。優香も満載でも無さそうですね。
「何?お前ら、そうなの?」
「今、口説いてる最中なんです。先輩もふらふらしてないで、本気出さないと、誰かに取られちゃいますよ」
「なんのことかさっぱりわからないな」