不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
とっさだったが、上手く告白めいた言葉が言えたと思う。
ただ、好きだから付き合ってと言うより、効果はあったらしい。
居酒屋でも隣に陣取り、お酒も入っているせいで、小野田と会話がはずむ。
実は、住んでいるマンションが近いことや、家の周りの行動範囲が割と似ていることを知り打ち解けていく。
しまいには、「斗真さん」「優香ちゃん」と呼び合うまでに進展。
早く2人きりになりたくてたまらない。
机の下で、彼女の手を握る。
驚いてはいたが、嫌がられてはいない。その証拠に、まだ、握られたままの手がある。
彼女が許してくれるなら、キスして、それ以上のことも…
早く、この打ち上げを終わらせたい。
そう思っていたら、テーブルを挟んだ向こうで、主任と中村の酒の潰し合いが終わり、主任が勝利した模様。
酔い潰れた中村を皆が見ている。
「中村さん、どうするかな?」
「俺は、無理ですよ。今から、小野田さんと二次会行くんで」
驚いてはいたが、拒否られていない今なら、イケル気がする。
だから、間をおかず前進するのみ。
主任と如月が、中村をタクシーに乗せて一緒帰っていく姿を小野田と見届けた。
隣から、緊張感が伝わってくる。