不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
ドキドキしているのは、俺も同じ。
彼女の手をとり、手を繋いで顔をのぞく。
「優香ちゃん、もう少し飲む?」
「…いいけど」
ツンケンするのは、照れている証拠。
「俺ん家なら酒も摘みもタダだけど、行く?」
あからさまな誘いだったが、本当にお酒を飲むだけが目的でない。
「お邪魔していいの?」
「もちろん」
ならと、2人で手を繋いでマンションまで歩く。
主任と如月が、どうなるだろうと話で盛り上がる。
小野田から見ても、主任が如月を意識している事はわかるらしい。
少し、寄り道をして、俺の住むマンションに到着。
少し変わった作りで、L字になっている5階建ての建物。
その一階に俺の部屋はある。
一目で気に入った間取りは、各階の一号室だけ、左右に部屋がなく、他の部屋より広い1LDK。
リビングのあちらこちらに視線を走らせる彼女は、きっと、女の影を探している。
そんなものあるはずもない。
彼女がいた時でも、一度も連れてきたことがない。
自分のテリトリーを乱されることが嫌で、乱されてもいいと思えるほど、好きになれなかったと、今なら思う。
2人てリビングでくつろぎながら、冷えたビールを並べ、摘みにスナック菓子をあける。