不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

「主任を、今から襲います」

「同僚と関係をもつ気はないんだけどね。俺、如月に恋愛感情持てないけど、それでも、続ける?」

相手を傷つけずに考え直してと逃げ道を用意してくれる、どこまでも優しい人。

だけど…ここまで来て、チャンスを逃すわけにはいかない。

「主任のこと、好きじゃありませんから…一度きりで構いません。主任の…体目当てです」

口角を上げた主任は、「そんな誘い始めてだ。なら、手始めになにしてくれるの?」

クスクスと笑い、整えていた髪を手で崩し、余裕の態度で自分の両手を枕にして見上げている姿に、経験値の差を知らされた気がするが、宣言した手前、引き下がれなく、彼のシャツの裾を引っ張りだし、全てのボタンを外し、ベルトを抜き取り、スラックスのボタンを外して、手が止まる。

盛り上がる膨らみに、どきりとして彼を見つめたら、期待に満ちた目で、見つめ返される。

「手が止まったけど、降参する?」

「しません」

「ふーん。なら、続きをどうぞ」

なんだか、主任が意地悪に感じるのは、気のせいだろうか?いつもの、優しい雰囲気が感じられない。

こちらはいっぱいいっぱいなのに、向こうの余裕の態度が癪に触り、彼の唇を塞いだ。

キスを仕掛けているのに、完全に彼の目は面白がっている。
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